塩の効果(予想)
濡れた画面に塩の粒をまいて、ニジミを作る技法です。
ニジミの出来るメカニズムは、推測ですが、
下の図のようになるだろうと思います。
まかれた塩の粒は画面の水を吸っていく。
限界まで水を吸い、結晶が崩れる。(溶ける)
溶けた塩と水が絵の具を押し返す。
水が蒸発して画面に小さな「ニジミ」が残る。
(※たぶん、下の図みたいな感じ。)
これは絵の具が乾く前にに水滴を垂らしてシミをつくる
「バックラン」と同じでしょう。
塩の粒はおそらく、とても小さな水滴となり、
画面の上に小さなバックランを作ります。
画面の乾いたところに落ちた塩の結晶。空気中の湿気を吸って丸い水の玉になりました。
使い方
残念ながら、塩を使っている作品は少ないようですが工夫次第で色々使えると思います。とりあえず、ボクの作品をご紹介します。
樹木
銀杏(駿河台・東京)
最初に黄色い葉の部分に塩をまいて小さな明暗をつくっています。そのあとで濃い色を重ねているのであまり目立ちませんが、効果はあります。
秋(養老渓谷)
紅葉のイメージに塩の効果を使っています。
撒くタイミングによってニジミの大きさが違う事がよくわかります。早すぎると溶けて流れてしまいますが、ちょうど良いタイミングでまくと、ほどよい大きさのニジミをつくってくれます。絵の具が乾くにしたがってニジミが小さくなります。
花
ガーベラ
後ろのかすみ草に塩を使っています。
ごく少量(5〜6粒)を指に付けてパラッと一粒ずつバラバラになるようにまきます。塩の粒一つ一つがかすみ草の花になります。
テクスチャー
ペリーロード
ごくわずかですが、左側の建物、暗い側面に塩をまいて質感を表現してみた作品。
背景
少女
右下、背景に塩を使っています。
小さな茶壷
背景に変化を付けるため、水滴のバックランと併用しています。
塩を使うコツ
塩をまくタイミングが大事
絵の具が紙の上で流れるくらいの時は、塩も溶けて流れてしまい効果はありません。乾きはじめた絵の具の上にまくとうまくいきます。絵の具が乾くにしたがって「ニジミ」は小さくなり、最後は塩が溶けずに終わります。試していると、段々タイミングがわかるようになります。
画面にまく量
塩は粒がべたべたくっつきやすいので、ドサッと画面に落ちてしまいがちですが、 固まって落ちると意図せず大きなニジミになります。また、塩が溶けきれずに画面に残ることもあります。(まあ、残ったら乾いたあとに払えばいいですけど。)さらさらの塩をひとさし指に少しつけて、親指と人差し指でこするようにしてぱらぱらとまけばうまくいきます。
画面との距離
画面のすぐ上でまけば、狙ったところに落とせます。画面から離れたところから落とすと、広範囲にランダムにまくことになります。
塩の種類
いろんな塩が販売されていますが、昔ながらの食塩や食卓塩が使いやすいでしょう。粒の細かいパウダー状のものは効果が薄く、岩塩のように粒が大きいものは溶けきれないで残ってしまいます。