一番影響が大きい画材です。
筆、絵の具、水彩紙のうちで、出来上がりに一番影響するのが「水彩紙」です。
最近では国産の良い水彩紙も発売されていますので、内外の水彩紙を、僕が使っている水彩紙のわかる範囲で解説します。
あくまで個人的な使用感なので、人により意見が違うと思いますが、そこはご了承ください。
水彩紙の特徴
絵を描くために使う紙は数々ありますが、中でも水彩紙は水彩に最適な紙です。ただし画材店で売っているスケッチブックは、必ずしも水彩用に作られたものとは限りません。水彩にも使えるというものが多いようです。
また、高級な水彩紙はサイジング(大きさではなく滲みどめ)が絶妙に施されていて、絵の具の定着の強さや乾くまでの時間をコントロールされています。
特徴1 紙の目
各メーカーとも表面のでこぼこ加減で、おおむね細目、中目、荒目と分けられています。
目の荒さ、細かさは基準がないようで、メーカーによってまちまち。中目ならどれも同じというわけではありません。
目の荒いほうが色が濃くなり、乾くまでの時間も遅いように思います。反対に目の細かい紙は色がやや薄く、乾くのも早くなります。
特徴2 紙の厚さ
水彩は水をたくさん使って描くので、紙は厚いほうが良いでしょう。
紙の厚さは1平方メートルの紙の重さで表します。
300g/平方メートルの厚さがあれば、描いた時の波打ちも少なく快適。
640gという極厚の紙もありますが、300gくらいが多いようです。
波打ち以外にも、厚紙ほど含む水の量が多くなるので「ぼかし」や「にじみ」が綺麗にできるでしょう。
特徴3 サイジング
にじみ止めのこと。紙によってこのサイジングに様々な違いがあり、それによって水彩紙の性格が決まります。表面のサイジングが強いと定着は弱くなりますが、修正は簡単になり、逆にサイジングの弱い紙は定着はよくなりますが、修正はやりづらくなります。にじみどめの加減はメーカーの腕の見せ所。
水彩紙の原料
コットン100%
世界中の水彩画家が好んで使うのが「コットン100%」の水彩紙です。「コットンラグ」と呼ばれる場合もありますが、文字通り棉の繊維でできた紙です。水の含みがよく、ゆっくり乾くため、様々な技法に適しています。絵の具の発色や定着も問題ありません。使い勝手は申し分ありませんが、価格が高いのが欠点。
コットンと木材パルプの混合
コットン100の水彩紙の味をなるべく損なわずにリーズナブルな価格に抑えるため、木材パルプを混ぜて漉いたものもあります。ミューズのワトソンや、ホルベインのホワイトアイビスなどが代表的な銘柄です。
割合は明記されているものも、明記されていないものもあります。
木材パルプほか
木材パルプ(この記事では木材パルプを単に〝パルプ〟ということにします。)の水彩紙もあります。有名なのはラングトンやコットマンなどの英国製。マルマンのヴィフアールやオリオンのワーグマンなど、国産の水彩紙もたくさんあります。竹の繊維を使った水彩紙なども。描き味はコットンの水彩紙には及びませんが、価格はリーズナブルになります。
水彩紙の製造工程による違い
紙の目と関連しますが、製造方法によって表面が滑らかなもの(ホットプレス)、中くらいのもの(コールドプレス)、荒いもの(ラフ)に分けられます。高温の金属ローラーでプレスしたものをホットプレス、常温の金属ローラーでプレスしたものをコールドプレスと呼んでいるようです。
使い勝手は性質が中庸なコールドプレスが良いように思います。僕は主にコールドプレス(だいたい中目)の水彩紙を使っています。